投稿日:2018年2月22日|カテゴリ:ブログ

私は、医者としては勤務医もやり、研究もやり、開業もやりで、いろいろやった。考えていることが好きで、推理小説も好きだった。でも犯人を当てることはうまくなくて、まず犯人はあたらない。だから面白がっているのかもしれない。文章の裏というか行間が読める人は、すぐに犯人というか、作者の意図がくみ取れるからか、面白くないようである。刑事の推理だけではない、TVドラマのCSIなどはかなり面白かった。しかし、おそらく本当の刑事や科学捜査をしている人から見ればあれはドラマで、あんなふうにはいかないと思うのかもしれない。

内科医として同じように推理するということは例えばNHKのドクターGという番組も視点はいいのかもしれない。症状から病気を当てる推理をテーマにしている。私たちが常にやっていることだ。本も買って読んでみた。推理小説と同じように当たらない。初めから、研修医がわかってしまうようには作れないから、意図的にキーワードは隠している。しかしそうすると、ゲストのタレントさんたちは話が非常に難しくなるようで、専門家だけのつまらない番組になってしまう。こういう番組を作るのは難しいのだろうなとつくづく思った。民放のドクター物はブラックジャックの延長で、まったく現実からは離れている。これは論外である。さて、アメリカはどうだろう。最近Drハウスという内科診断医のドラマが同じようなテーマで面白かった。

第一話は痙攣した患者さんから始まる。痙攣は外見が派手だから見ている人は引き込まれる。脳のCTは異常がない。MRIは狭所に入ったことで、ショックを起こし取れなかった。軽い炎症反応がある。優秀な子分が3人でいろいろ可能性を出していく。Drハウスの診断は血管炎だ。確かに脳の血管炎はCTでも映らないし診断は難しい。ステロイドの投与を命令する。薬が効いて回復してくる、しかし、また突然痙攣が起きて、全身状態がぐっと悪くなる。すると、この娘は何を食べていたのか、家に潜り込んで探って来いと言い出す。子分二人が家探しする、飲み物、野菜、ハム、など。こんなことはありえないけどドラマだ。そうか、ハムを食べていた、寄生虫かもしれない。寄生虫なら、ステロイドでいったんよくなってもかえって増殖するから、話は合う。でもどうやって見つける。MRIは取れない。簡単だ、レントゲン取ればわかるかも。なんと足のレントゲンで、虫が写っており、あっというまに薬を注射して治ってしまい、ハッピーエンドだった。思わず調べてしまった。確か条虫に脳に行くのがあった。有鈎条虫だ。日本で今までに数百例という珍しい話だった。確かに加工品のハムにもいる。うーん現実には最初に下痢をしたり、腸の症状があってもいいし、検便でわかる話だ。この時点でおなか痛いから、医者に行くだろう。体に入り込んでしまったら好酸球が上がるから、疑うだろうし。あとになるとおかしいと思うのは答えがわかったからかもしれない。しかし、学生時代に11年かけてやっとわかった寄生虫という話を講義で習ったから、ほかの症状なくいきなり痙攣、こういうこともあるのかもしれない。

子分の一人はジョンスホプキンス卒業の優等生で、神経専門医を取ったばかりだ。Drハウスは内科医だけど、オールマイティーな知識を持っている。今日本も各種の専門医ばかりで、総合内科専門医は人気がないという状況である。本当の意味で、全人間的に病状がみられる専門医が注目されるよう、こういう番組は意味があるのだろうなと思う。

今、大学病院に入ると、臓器別ばらばらだ。私のお願いした腹痛の患者さんは消化器内科に入院した。腸の血流が悪いNOMIという病気だと考えていた。しかし、血管は見てくれない。腹腔鏡でおなかの中を見ているのであるから、虚血で色が悪いなとは思ってもらえたのだろうか。絶食だけで、様子見ているうちに不幸な結果になってしまった。血管外科的にカテーテルで血管拡張すれば50%は助かるはずなのだが。