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フォゼベル🄬について②
どうも鈴木俊嗣です。
6月22日に第68回日本腎臓学会でポスター発表してきました。
https://square.umin.ac.jp/jsn68/data/pdf/jsn68_rsposter.pdf
気になる方は検索で私の名前をいれてみてください。
さて、発表も終わりましたのでフォゼベル🄬について少し。
①作用機序のおさらい
まず作用機序がこれまでのリン吸着薬と大きく異なります。
これまでのリン吸着薬は食事との兼ね合いで、食直後や食直前の内服でした。
食事が消化される過程でリンとなり、腸管で吸収されるわけですが、それを吸着するのが基本でした。
フォゼベル🄬は、腸管におけるNa+/H+交換輸送体の阻害をすることにより、細胞間のタイトジャンクションを増やすことで、腸管からのリン再吸収を減らします。
しかしNa+の排泄が促進されるため、下痢や軟便症状といった副作用が出ます。
何なら海外では下剤としての使用もあります。
②それを踏まえての当院での使用開始方法
まず当院でフォゼベル🄬を使用する場合、他のリン吸着薬を一旦中止します。
特にリオナ🄬、ピートル🄬といった鉄系は軟便や下痢になりやすいからです。
さらに下剤も一旦中止します。
フォゼベル🄬のような受容体の作動薬は、基本的に開始時がもっとも効果が強いです。
受容体が薬で作動させられると、細胞表面に出てくる受容体の数が減っていきます。
これをdown regulationといいます。
ですから、副作用である下痢症状も、最初が一番大変なものの徐々に軽くなってきます。
この薬の面白いのが、メーカーからのデータになりますが↓

リンの排泄量が食事でもあまり変わらないのに対し、ナトリウムはかなり変わります。
ですから、添付文書では1日2回、食事前になっていますが、当院では1日1回、夕食後としています。
なるべく週末前に内服するようにしており(下痢がひどいと外出が難しくなるためです)、そこも一工夫しております。
③それでもリンの値は変わらないか、むしろ下がった
他のリンの吸着を減らしたらリンが上がるのでは、という懸念になりますが、むしろ前より下がった患者さんがほとんどでした。
最初の効果が強いというのもあると思います。
これで飲むお薬の数を減らすなら御の字ですね。
②で述べたように効きは悪くなるので、徐々に増量は必要です。
Down regulationがあっても、平衡という状態に達します。半年くらいが目安です。
増量していき、そのあたりで落ち着くことが多いです。
なので、他のリン吸着薬にそのまま追加する、というのは当院ではやりませんし、オススメもしません。
またこれは透析方法や日常の便通にもよります。
当院のような超清浄化している置換液で行うオンラインHDFの場合、下剤を飲んでいる患者さんは少ないです。
2割もいないので、他施設の平均である4割と比べるとかなり少ないです。
なのでそのあたりも考えて、総合的に決めるのが良いと思います。
それではまた。